痩せたいけど✖痩せられない

痩せたいと念じつつ、幾年月。既にどうでも良くなってる昨今ね・笑

『痛みのコントロール』と終末医療現場。

癌患者の痛みの軽減する措置だが、、
癌で亡くなった母親は痛みのコントロールがうまく行かず、
温和な主治医からは、こちらが説明しても理解してもらえないようで、
家族からも説明して欲しいという趣旨の話があった。
痛みを強く感じているのにも関わらず、痛み止めを『体に悪い』と痛いのに我慢してしまい、体に合った適量を飲まず、、、
そんな状況で当たり前のように毎日毎日、ベッドで痛みに苦しむ状況だった。
当然だが、いつ見舞っても沈んだ暗い表情。
痛い痛いと・・食欲もどんどん減退していた。
もともと受けた手術でかなり痩せていたが、ここでますます悪化していったようにも感じた。
無論、痛み止めは癌をどうこうする治療薬ではないが、痛みを取り除くという意味では治療薬だと思う。
つまり、体に合った適量の痛み止めの服用で、常時痛みの無い状態を維持し、食事をとり、養生するという事をめざしていたのだと思う。

痛みをとるモノに主にモルヒネ系の麻薬を使う事が多い。
母は、『モルヒネ』『麻薬』という言葉に過剰反応というのか、完全に拒否反応を起こしており、
『麻薬なんて体に悪いから』と、少ししか飲もうとしない。
普通に考えれば、すでに母の体は癌に侵され、もう十二分に悪いわけで、
それなのにだ、まだ体に悪いものは嫌だと・・言うのだ。
ゆえに、ベットで痛い痛いと言う状況。

結局、痛みのコントロールが出来ず、無駄に3週間が過ぎてしまった。
当初は痛みのコントロールが出来れば、体を慣らして時々外泊も出来るはずだし、抗がん剤治療にも進めるという話しもあった。
しばらくは家に戻れる・・と言う事だったのだが、、、それも立ち消え。

母は適量を飲んだほうがどんなに体が楽になったであろう痛み止めのクスリを
とりあえずこれぐらいでやめておく・・と自分勝手な私的コントロールを行った結果、、
当然、痛みは消えず、一日中痛い感じが母自身の心と体力をどんどん削ぎ押して行った。

医師や薬剤師、看護師さんからの痛み止めと痛みのコントロールの話しは
病室に来て説明して下さっていたが・・・
八十四の耳の遠い老女に理解が出来ていたとは思えない。

母の場合、大雑把な記載だが、、、
朝晩二回、痛み止めの効果が長く持続する薬を服用。
まずこれが基本の痛み止めとなる。
それとは別に痛みがあれば看護師に言って効果が短時間ではあるがかなり効き目の強い痛み止めを追加服用。
この短時間利く痛み止めを一日何回服用するかで、一日中ほぼ痛くない生活の薬の量がわかって来て、それに見合うクスリの構築がされ、痛みの無い生活=コントロールが出来ているという事になる。
しかし、自分勝手に痛みを我慢し、適量を服用をせず、痛い痛いと言っている母に、口を酸っぱく我慢してはいけない、痛くないと感じるくらいの薬を飲むように言いまくるしかない。

しぶしぶだが、なんとか痛みが殆ど無いくらいまでもっていくことが出来たが、
せん妄が起こり、夜中の三時に携帯から私やと弟の家、お嫁さんの携帯に
お金持って来いとを脅されているっっ、千五百万用意して・・とか、、
お金を払わないと息子(私の弟)が殺されるっっ。
とりあえず五万円持ってきて(弟の命五万って、、安いっっ)と大騒ぎ。
幸い?蒲団被って電話しているというので、ほかの患者さんには迷惑かけてない?かな。

その後も、早朝・・千三百万払ったのは今回が初めてじゃない。
以前にも脅し取られていたと・・。
掃除のおばさんが夜な夜な患者の財布を取って、凄いきれいな身なりをして
暮らしている。
更には、そのおばさんの仲間が同室にいてスパイしている。
アタシ達の話を聞き耳を立てて聞いている。
と、名指しされた患者さんは、術後の予後があまりよろしくない初老の女性。
夜な夜なヒトの財布を狙うほど元気はない。
とにかく、荒唐無稽な母のせん妄につき合わされて、大変だった時期もあった。
時代劇屋推理モノの諸説が好きだったので、どこかドラマ仕立ての展開。

一瞬、認知症の発症と思われたが、医師からはモルヒネによるせん妄で、
体がモルヒネの量になれると収まると聞いた。
確かに、数日でせん妄は収まり、また正常になったが・・・

今にしてみれば笑い話か。

徐々に体の方は弱りだしてきていた。
同じ病院には、先月亡くなった十勝花子さんもお見かけした。
御顔や体はとても細いのに、おなかが大きかったので、かなり腹水が溜まっているのかと・・
腹水が溜まりだすと癌であれば末期に近いと聞いたことがあったので・・
もしかしたらかなり悪いのかもしれないと弟と話したりしていた。
母が転院して数日後に大腸がんの末期で亡くなったと報道されていた。
見た目は母の方が先じゃないかと思うほど、やつれても居なかったので、
亡くなったと聞いたときは驚いた。

緩和ケアの有る病院への転院で、主治医の先生は母に優しく話してくれた。
モルヒネが嫌なら、モルヒネを減らして別の痛み止めを組み合わせて痛みをとっていきましょう。
痛み止めはたくさん種類があるから、上手に組み合わせれば、モルヒネは今の半分くらいは減らせますよ。

これからも生きて行く人達相手に元気な生活に戻す治療をする病院から、
死へ向かっている者を手当てしてくれる病院へ移ったが、本当に良かったと思っている。

ずっと、母の痛みのコントロールに振り回されていた私たちにも何とも心強い説明だった。



五月上旬に手術、八月上旬には末期のステージⅣb。
辛い手術などしなくても、結果は同じと言われた時、
手術せず抗がん剤治療で緩やかな進行、
しばらくは普通に暮らせたのではないかと思ってしまう。

しかし、緩和ケアの主治医の先生は、、
初期で手術出来ると聞けば、お母さまのやりたいように手術し、
その結果が現在の状況こうだったとしても、それでいいと思います。
逆に、手術出来たのにしなかったからこうなった(あっという間に末期)・・
やはり手術を受けておけば・・と言う後悔も出てしまったかもしれないです。
初期だから手術する。
その思いは尊重されたのだから、、ご家族は思い悩む必要など無いですよ。
心が軽くなる。

痛がる母には何が一番良い方法なのかを考えてくださった先生、
ボタンを押せばすぐに来て下さる看護師さん、
頼めば体をマッサージしてくれたリハビリの先生、
車椅子に乗って外や院内の散歩ややりたいことの補助等を暖かく支えてくださった心理カウンセリングの先生。

本当に、毒舌で我儘な母を・・最期までありがとうございました。